『おこんじょうるり』

 ポレポレ東中野の「桜映画社特集」中「岡本忠成特集」で。またしても人形劇です。岡本忠成と言えばあれです、『NHKみんなのうた』の『メトロポリタン・ミュージアム』です。狙ってるワケではありませんが、またしてもトラウマ(ソング)です。コレを逃すテはありません、と言うわけで観に行きました。
 で、作品なんですが、盲目のイタコの老婆と神通力を持つ白狐との交流と悲しい別れを描いた、またしてもトラウマになりそうな秀作。
 出てくる人形はみんな張り子様。これが器用に動く動く。基本、白狐のおこんや盲目のばあさま始め皆シンプルに可愛らしい造詣、原作の民話に基づいたということで言葉は東北訛り、そのため全体に漂う素朴な雰囲気が大変好ましい。一方で、おこんが「女装(頭島田に紫の詰袖、三味の代わりに弓を弾く)」した際ほんの少しだけ見せる*1姿が妙に妖艶でドキッとする。陽気に「じょうるり」を謡う時は、まるで少女のようにしか(=可愛らしいようにしか)見えないので大変不思議。まあ、張り子の、それも狐の人形を「妖艶」などと表現するのは殆ど狂気に近いのかも知れないが。
 普通に陽気に、朗らかに、感動できる作品です。あしからず。

*1:月の明かりの下で、おばばとおこんが強く深めた互いの絆を確認するシーンの