『怪談』

 小泉八雲原作の『黒髪』(主役の武士・三國連太郎)『雪女』(主役の男・仲代達矢)『耳無芳一の話』(芳一・中村嘉葎雄)『茶碗の中』(主役の武士・中村翫右衛門)をオムニバス形式で映像化したモノ。
 肝心の仲代達矢が主人公の『雪女』が原作に忠実過ぎるために大変単調で退屈な印象。続く『耳無〜』も同様*1だったので途中退屈する。徹夜明けでただ単に疲れていただけなのかも知れないけど。原作に忠実すぎる故に、そもそも淡泊が故に底知れぬ恐ろしさを持つ原作の雰囲気が映像化されることによって変に削がれてしまい、単調な印象を持ってしまったか。そんな状態で突入した4作目『茶碗の中』、恐らく原作の中では屈指の恐怖感を読者に与える作品。その原作が持つ「意図不明、ただ何かが静かに忍び寄る不気味な恐怖」がかなり忠実に表現されていておもしろい*2。極めつけは終盤に現れる「式部平内(仲谷昇)の使者三人」のキャスティング、佐藤慶天本英世玉川伊佐男。彼らの行動も(原作通り)意図不明でただ(あの)三人が中村翫右衛門に詰め寄り、なじる。怖いし可笑しいよ、これ。斬りつけてもまた現れる、更に斬りつけては、の繰り返しのうち物語は原作通り尻切れトンボで終わる*3。トリに登場するのが大好きな役者だったコトもあり、結構満足のうちに終わる。*4

*1:芳一役に頭を丸めた中村嘉葎雄がなんか可愛らしい印象なのが面白かったけど

*2:茶碗の中でニヤニヤ笑う仲谷昇にはちょっと吹いたけど

*3:原作ではこの終わり方がとてつもなく怖い

*4:最後の最後の「おまけ(蛇足)エピソード(物語を書いた作者が謎の死を遂げる)」は最悪だったけど。