小和田駅はやはり谷の底近く・・・その3

 〜前回までのあらすじ〜
 「ヤツは田本駅から飯田線に乗って小和田駅で降りたぞ」 その事実を表すように小和田駅には謎の言葉が残されていた「このみずわとめないでください」・・・謎が謎を呼ぶ飯田線の線形、嘗て一日で170年分の売り上げを上げたという向かいのレールが撤去された小和田駅ホームに降り立ちsans-tetesは思わず叫ぶ 「何でこんな所に駅があるんじゃあ!*1

 お参りの済んだ小和田池之神社から再び駅方面へ引き返す。あるサイトによればこの神社の裏手から大嵐駅もしくはこの遙か上方を通る林道天竜川線に通じる道があるような事を書いているが見る限りそのような道の存在する様子はなく、神社の裏手は行き止まりと言ってしまって差し支えないと言える。今来た道を引き返すと、丁度工場跡らしき廃墟の下のあたりで駅から来た道と合流*2、坂を登れば駅に戻るが登らずそのまま川に沿って真っ直ぐ進む。

 するとすぐに登場する路上(?)に遺棄された旧式のオート三輪の残骸。小和田駅周囲を彩る物件として有名な一点。誰がいつ頃、そして最大の問題はどのようにしてここまで進入して遺棄していったのかは全くの不明。

 動物の死体なら「死体は動物のよって荒らされ周囲に散乱していた」と言ったところのオート三輪のタイヤ。自然の内に本体から離れたのかその後訪れた物好きによって分解されたのか、もはや知る由もない。どーでも良いがタイヤに挟まれているようにして捨ててある週刊誌の見出しに「酒井法子・・・覚醒剤・・・」と比較的最近のモノだった。わざわざここまで来て週刊誌を捨てていく感覚はよく判らない。

 オート三輪の残骸がある場所は丁度民家の廃墟跡*3の真下に当たる。となると写真の坂を上った民家の前辺りが駅舎内に標示のあった「避難場所の駅前広場*4」になるハズなのだが詳しくは見ていない。と言うのもこの時点での時間は大体正午。予定では大嵐駅16:13の電車に乗らなければ今日中に地元へは帰ることが出来ない計算。この場所に来るに当たって事前に多少の下調べはしたモノの、大嵐駅から小和田駅の入り口まで3〜4時間のペースで小和田駅入り口まで達した記録を見つけることは出来なかったため*5正直どの程度の時間を考えれば徒歩で大嵐まで達することが出来るのか判らなかったので、以降、ルート周辺の撮影や調査(?)と引き替えに歩行を優先することにしたため、これまでと比べて写真がおざなりになりますので悪しからず。そう言えば田本駅で行き合った駅巡りのおじさんが言っていました「小和田駅を歩いて脱出するんですか? 大丈夫ですか? 気を付けて。」

 ま、そんなご託は良いとして、小和田駅前広場を離れると駅メインルートはしばらくこんな感じで天竜川に沿って簡易舗装された小道を進んでいきます。山側がしっかりと固められているせいか落石、倒木の類もなく足下は快適。

 川側に目を向けると、先程から秘境に似つかない騒音を垂れ流し続ける作業船が目の前に。丁度お昼に入ったためか作業は中断中、静かな秘境駅周辺本来の様相をしばらく楽しみながら道を急ぎます。

 時々このように川側には柵が設けられていたりと結構整備されている様相を見せるのですが

 すぐにこのように所々剥き出しの地肌が目立つように。考えてみれば駅を離れて今まで一度も人間と行き合わないのだから当たり前と言えば当たり前だ。

 駅より二件目の民家。おそらく廃墟。さしずめ「小和田駅徒歩10分!」の広告を出してもウソではない立地。問題は辺りを調べてもあそこまで登る道が見当たらないということ。
 
 ここからしばらくして登場するさる筋では有名な分かれ道。普通に考えて、簡易舗装のしてある方が本線(?)と考えるのが自然で実際それぞれにルートを指し示す標示もありますので、ここはおとなしく坂の方「塩沢集落40分→」の方へ進めばヨイのですが。

 舗装がされていないとはいえこの平坦さは一見歩く者に安心を与えそうな気がするじゃないですか。「高瀬橋」の様子も気になることですし、ここは敢えてこちらの道を向かいましょう。

 ちなみにこちら側の道、後ほど前を通る所謂「M氏宅」の管理していると思しき茶畑の脇(?)を通って行くためそれら畑関連の用具とかが道に沿って置いてあり、いわば生活道路の様相を見せていますが、

 畑を過ぎるとすぐにこのような道に早変わり。まあ予想はしていましたが。
 
 お陰様で動じることがなくなりました、もはやおなじみの倒木。

 もう少し行くと件の橋らしき主塔が登場。主塔の大きさから結構立派な橋のようです。多少道の荒廃はありましたが、分かれ道からここまで距離的にはすぐです。

 それでは橋を渡ってみましょうか。天気も良いことだし天竜川の景色を楽しむとしましょうか・・・

 って、え?

 あれ?

 もうおわかりのように橋はモノの見事に崩落しています。本当にこの崩落振りは見事です。例え残存している橋床までジャンプして届いたとしてもその反響で一緒に崩落、スパイダーマンでも無理そうです。しかし、こんなになるまでほっとかれているのですからよっぽどこの道は人が通らないのですね。

 想像通り橋の向こうは風光明媚な景色が広がっていそうなのに・・・。

 人のいない山中に似つかわしくない立派な吊り橋の主塔、しかも既にその用途を供していないという歪さは大変奇妙。この時ばかりは主塔の上に広がる果てしない青空に恐怖に似た不気味さを感じずにいられません。

 なんて気取った事書いちゃってますが当然下調べの上でのこの場所へのアプローチ、まあ橋の現状は大体は知っていたんですけどね。問題はここまでで当初の目的を達する目処がまだ全然付かないということ。本当に果たして徒歩で小和田駅を脱出なんて出来るんだろうか? 続くぞぉ!