泰阜村「左京の宿」

http://www.vill.yasuoka.nagano.jp/kankou/shisetu/sakyounoyado/index.htm

 先日の飯田線行で泊まったお宿その2です。私的ガイドラインに従って場所を優先し、「飯田線田本駅に近い宿」をいう事でヒットしたのがここです。

 田本駅→南宮橋→温田駅→田本集落→左京集落*1とかなりの高低差を歩いてきた後、県道1号線を外れて(恐らく旧道)谷の底に下りて行った先にあります。途中こんな剥がして持って行きたくなりそうな素敵な看板の残る製材所を越えた先小さな橋の近く、古民家をそのまま移築したとのことその趣ある建物はすぐに目に止まります。

 もう暗くなってようやくの体でお宿に近づくと、入り口に近くに置いてある木工品の一つをねぐらにする黒猫が客が来たとばかりに突撃してきます。

誇張でなくてホントに突撃してきます。撫でるまで入り口へ入れさせてくれません。体中落ち葉の切れ端を引っかけているところから日中は山の中を歩き回っている活発なネコなのでしょう。喜んで仕方なく撫でていると建物の陰からもう一匹茶ネコがおそるおそる顔を出す。そちらも撫でようと近寄ると茶の方はぱっと後ずさり。羨ましそうに眺めている割にはすごく警戒心が強いようです。二匹好対照です。

 完璧に和室のお部屋には炬燵が用意が用意。まだおこたの季節ではないのですがこのおもてなしは嬉しかった。お茶請けが茶菓子でなくミカンなのもポイント高いですね。宿の周囲、山の陰なので夜になると急速に冷え込んできます。
 お宿の真ん中にはいろりがそのままあります。シーズンでなかったせいか客が私一人だったというせいか囲炉裏に火は入っておらず。食事は山のモノ中心で普通においしゅうございました。お風呂は温泉ではありませんでしたが立派な檜のお風呂。ただしお風呂もトイレも共用となっております。

 建物だけでなく、中の調度品、さらには調度品の中の本棚に納められている本も以前の住人のモノをそのまま持ってきているそうです。目の持ち主はなかなかの読書家だったらしく、多くの本が残されておりアホなテレビを見ることなく時間を潰せるのはありがたいです。

 前の持ち主さんは本読みというだけでなく結構な募集癖があったらしく、こんなモノまで。伝説のオート三輪「ヂャイアント」号。「洗練された芸術美と実用価値兼備の洗練されたニユースタイル」は「エンジン」でなく「エンヂン」と表記します。

 これは便利「富士軽バイク」。オート二輪にノーヘルで乗れた古き良き時代、伝説の自動車製造会社富士自動車が開発した(常に)起死回生を狙った作品です。この会社が辿った波瀾万丈の運命について右上のお日様は何も語ってはくれません。

 本棚からはこんな本も出てきました。昭和天皇の公務その他日常風景を写した写真集。

 執筆陣も錚々たる面々。

 カバー折り込みに記された奥付にもなんかすごい事書いてあります。出版は戦後間もなく。出版社側に決して悪意は内上でその裏に「神でなく人間となった天皇を日本国民一般のさらし者にする」占領軍の意図も読み取れて、貴重だけど今だととてもデリケートかもしれない。
 
 個人的アルバムも数冊そのままに保管。当然写ってる人が誰かわかるはずないのですが、背景の風景が昔の温田駅周辺の写真、今はダムに沈んだ南宮郷の様子等当日歩いてきた場所も多く登場して興味深い。

 更に本棚をあさっていて登場したのがこの本。「昭和20年代のエロ本」。

 「情痴・愛慾・怪奇・探偵大特集」 この当時、「探偵」は「情痴・愛慾・怪奇」と類語だったのかと、その奥ゆかしさに思いを馳せる。

 執筆陣が全然わからないので貴重なのかよく判らないがスゴイ事はよく判る目次。

 これは今でいうアレですね。PC内のエロ画像を処分しないまま死んでしまって、ずっと後になってみんなにバレタのと同じことですね。蔵書の豊富さから研究目的という線も否定はできませんがいずれにせよ本人がいなくなった今本人の言い訳を代弁する人もなく、後世好いように解釈されてしまうというワケで、結構他人事でありませんね。

 そんなこんなで結局かなり夜更かしした後、次の日は朝早く起きて周囲を探索。

ネコは同じところでまだ寝ていたのでテンション低く、適当に歩き回って適当にお腹すかせてやはり早めに宿は出て、またも高低差をモノともせず田本駅へ向かいました。朝飯大量に食べた事がこの日物凄く助かり遭難しなかった事の一助*2を担っていたと思います。この周辺はまだ見所多く、また来る事になるのでその時はまた利用すると思うくらいおもしろいお宿でした。


「左京の宿」こそ地図が必要と思われるのでこちらご参考までに

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