石勝線夕張支線(夕張線)

 次は乗れない気もしないでもないので乗ってみました。次があるかどうかは判りませんが。

 宿の最寄り駅が南清水沢駅で、夕張市中心部〜夕張鉱・石炭の歴史村周辺をウロウロした際に夕張駅までの移動のため利用したので乗っていた時間はほんの僅かです。が、濃いです。ただ単線列車に乗るだけで濃いです、夕張。やはりタダ者じゃありません。

 夕張方面始電目当てで駅到着6時半。駅目の前に咲いていたこれはヒマワリでいいんでしょうか?

 なぜなら駅ホーム側にはコスモスがもう盛りと云うくらいの咲き方

 更に駅名表示を朝顔が占拠。お花仲良くよいコトです。

 良いコトはともかくこの駅舎、朝一番で扉を開けて入ると扉一面に張られたクモの巣が顔にまとわりつきます。少なくとも昨日の終電で一人くらいは降りた人がいたと思うので終電〜始電の間に扉一面にクモの巣を張り巡らせたエラク働き者のクモさんと云うコトで、その無駄な努力が大変好ましいモノのやはり朝イチで顔にクモの巣が付くのはカンベンというところ。

 切符の発券は嘱託のおばちゃんが管理。JR北海道管内ではよくある光景ですが夕張市内では恐らくココだけ。見ての通り嘱託スペシャル仕様に賑やかに飾られた南清水沢駅発券口、切符だけでなく色んなモノも配ってます、売ってます。嬉しいです。ちなみに嘱託のおばちゃんはクモの巣張った正面の入り口からでなく裏口から入ってきます、むー。

 そんなこんなしてる内に一番列車。おあつらえ向きに霧の向こうから時間通りに登場。

 懐かしいキハ40系気動車の車内は懐かしいボックスシート

 国鉄時代製造の古豪と云ってもそこは寒冷地仕様、気密遮蔽完璧で暖か車内窓曇りまくり、お外スモグまくり。

 あっという間に鹿ノ谷駅、終点夕張まであと一駅。

 遙か昔、夕張線から望む鉱業関係設備に山のてっぺんまで段々に連なる炭鉱住宅は石炭の町の象徴で絶景とも言えるある意味名物だったそうですが、かの宮脇俊三氏は「不平不満ばかり言う輩は一度夕張線から車窓を眺めるがよい」と車窓からも明らかに失われていくのが判る夕張の繁栄を逆説的に嘆いていたのが30年ほど前、今では嘆く感傷すら起こらないほど炭鉱色を払拭されております。ここら辺まで来ると車窓より戸建ての住居が目立ってきて、特に夕張線と併走する道道沿いからは真新しいお家も目立ち炭鉱臭を嗅ぐことが出来ないと云っても寂れた雰囲気もあまり感じることはありませんが、道道沿いに並ぶお家の裏側を走る夕張線から見ると裏側がちょっとアレなお家もまだゴロゴロしており、宮脇氏の嘆きはまさに車窓より嗅ぎ取れる、やはり夕張線はすごい、列車に乗って初めて夕張を知ると云っても決して過言ではありません。

 そんなこんなで夕張駅。先がありませんが市街地はずっと先。私の他の乗客はみんなばあちゃんだったけどみんな駅を降りて600メートルくらい先のほとんど上り坂の市街地までえっちらおっちら歩かされていた。住民にはすごく不親切だと思う、やっぱり何かに媚びてる現夕張駅

 老兵は折り返しこれから千歳までだって。がんばってね〜。

 駅舎内に貼られた昔の写真。好きです、大好きです、昔の写真。

 きっとまた来てね、黄色いハンカチ。あ〜もう許しちゃうよぉ、がんばれ夕張!

 一応実際に乗車したのはココまでです。この先夕張市中心街をウロウロして廃墟化した飲み屋街にいたこんなすげぇネコとか面白いモノが結構あったのですが、ココは「たのしいのりもの」なのでそれらは別の機会に。
 以下はズルしてバイクで回った夕張線(石勝線)内駅をお送りします。

 鹿ノ谷駅。

 夕張鉄道線接続駅だった関係で異様に構内の広く

 異様に長い跨線橋の先には

 当時からでございと云った貫禄の住宅多数

 夕張鉄道線からパチってきちゃったんでしょうか?

 ホーロー看板でビシッと決めてるホーム

 駅舎内には思いが込められています。
 駅前通りも広く作られて、駅に一番近くのなんかの工務店の建物が古っい煤けた石ブロック造りで格好良い。道道との交差点のところに郵便局もある。実は夕張支線内、ほとんどの駅近くに郵便局があるんですよね。嘗ての栄光の跡を凄く伝えてくれる鹿ノ谷駅、駅ノートもアツい。

 清水沢駅

 ココは何と空車待ちのタクシーがいます。ついでに時々ネコがいます。ねこが何を待っているのかよく判りませんが、空車待ちのタクシーはここから東に分岐する国道の先で行われているシューパロダムの関係者目的で待っているようです。公共工事でカネ落としてる、実は密かに夕張市内でもっとも賑わっているような気がするのですがどうでしょうかの

 駅前通り。この通り沿いにある「大黒屋旅館」は物凄く古くて味のある建物とおばあちゃんが出てくるという評判の宿なのですが、現在雪のない季節はほとんどダム工事関係者が停まりっぱなしで予約困難。停まれないのは残念残念ですが良いコトです。写真で見えるまんまそのまま「駅前食堂」も土方系、もとい労務者系のメニューのニオイのするよさげな食堂ですが時間なくスルー、残念。

 清水沢駅の構内も嘗て大夕張鉄道線に接続していただけあってだだっ広さが目立ちます。この駅の場合鹿ノ谷駅と違いホームまでこのだだっ広い構内を横切っていかなければいけないのでまた違った趣があります。

 もちろん駅名は琺瑯看板で決めるベシ。

 上を見ると大量のカラス。早く帰れってさ。

 ちなみにここの駅のトイレ、紙がありませんので注意しましょう。ここ限らず夕張市内の公共トイレ*1は財政制約上紙がない場合があるので注意しましょう。けど昔は駅のトイレの紙は東京駅でさえ自前だったんだぞ。

 沼ノ沢駅

 今この写真見て頭を抱えているのですが、何故この駅はホームの前に花壇があるんだ? どーいう構造になってるんだ? 

 沼ノ沢駅の場合、実際に列車で来て乗降はおろか通過もしてないし、列車が来るところも見たわけでもないのでどんな構造かさっぱり思い出せません。ここからは真谷地炭鉱専用線が分岐していたのである程度の広さの構内を持っているはずなんですが。

 ただこの駅の売りは駅舎の一角で営業してる「おーやま」と云うレストランで、有名なところで修行されたというシェフがやってるところでちゃんとした洋食食べさせてくれます。結構皆さんお寄りになられていたようですが、私なんかクマが出る山ん中歩き回った靴で入り込んでエライ迷惑かけてしまいました、スイマセン。鹿ノ谷駅もあまり見ていませんでしたのでまとめてスイマセン、スイマセン。

 新夕張

 夕張線ばかり見てからこの駅に辿り着くと、交換設備のある駅が本当久しぶりで「実際に使用している部分が多い広さ」に戸惑う。優等列車の登場にも大焦り。けどなぜ「新夕張」なんだろう。「紅葉山」でよかったのに、その事は気に食わない。

 他に気に食わない、と云う程でもありませんがヘンに思うのがこの駅何故かあちこちにトイレに置くのと同じ芳香剤が置いてあり、駅舎の扉を開けた時、待合所兼用の階段の扉を開けた時、「プ〜ン」とばかりに臭ってくる。お陰で初夕張の香りは「トイレと同じ」。何故? 援助物資?

 けどこーいうのを見てしまうと何でも許してしまわなければいけなくなる。許さざるを得ない。許させて下さい。

 しっかし夕張行けねぇよ、列車で。どーすんだよ、ちょっと理不尽すぎるだろ。許すけど。

 居たたまれなくなって駅舎の外を出ると巨大な周辺地図と・・・「紅葉山」表示の駅名標。嬉しい!本物の夕張線だ! このサプライズに感動。
 この感動に乾杯したいなら駅下ちょっと下って国道沿いにある「栗下食堂」で。ラーメンが美味いです。けど7時で終わり。はえー。

 心残りは地図の思いっきり端っこになんか山ん中にあるお稲荷様に行けなかったこと。

 最後は夜の闇に向かって夕張駅で発車を待つの図で。せっかく面白いモノ盛り沢山なのに本数の絶対的な少なさが惜しまれる石勝線夕張支線、もしも夕張に行く機会があれば乗ってあげて下さい。乗る時間がなくても駅舎に侵入して入場券だけでも買ってあげて下さい。無人駅のおまけにワンマン運転で入場券も買えなければなんかJR北海道のグッズを買ったり紙の切れたトイレにトイレットペーパーを補充してあげて下さい。

*1:北海道道内の場合、ターミナル駅以外の駅は地元に管理を丸投げしてる場合がほとんどなので管理体制的に公共施設と同じである場合も多い様子