その九 さいたま市大宮区堀の内町「白山神社」

sans-tetes2008-02-16

 住宅地の中、なんだかこの場所だけ切り取られたように存在するお社。家々に囲まれて、一つ向こうの様子さえ分からない街並み、この場所に来ると家々に隠れていた向こう側の様子が突然開かれ、日の位置によっては急に光が射し込んできたように感じる。開かれた神社の向こう側は県名有数の交通量を誇る道路、ただこの位置が少し小高いところにあるらしいのと、道路拡張の為の再開発により辺り一帯の建物が取り払われており、あたかも山脇を貫く新道を峠の旧道から望む感、ほんの一瞬だけ、無粋な車が取り払われた、嘗てのこの地の姿が垣間見える・・・ような気がする。
 狭い境内、入り口から鳥居を越えておおよそ半分ほど、芝生に覆われている。寝っころがって、お空を仰ぎ、そのうち眠くなってうたた寝・・・するには今日は寒すぎる。冬はやはりこのお社の持つ機能が半減するのか、芝の敷かれてない本堂の周り、土の地面が剥き出したになった部分には本日お参りする一人分の足跡。定期的にお参りする人、崇敬は保たれてはいる様子は分かるものの、今の季節、この場所を心底堪能するにはやはりシーズンオフであること否めない。もう少し、陽気が良くなった頃、再び訪れてこの場所をもっと堪能・・・との思惑はすぐに打ち消す。こんなところに見知らぬ中年が寝転がっていても不審者にしか見えない・・・。なにより、この社に普段より接する地域の人達を差し置いて、そのより深い恩恵を味わうのは不敬と思うし。