ネコ再び・・・岩内雷電温泉・三浦屋旅館

 以前「ネコが寝てばっかで働かない」と紹介した*1岩内町雷電温泉にある三浦屋旅館で一泊しました。

 旅館は西側、海に面してた高台に建てられているので晴れた日は夕陽が沈む様が大変キレイに映えると云うこと、こちらの旅館を紹介する他ブログ等で勧められていたのですが、前回は100キロ先のせたな町辺りで日没を迎えついでにクマが怖かったりで鑑賞どころではありませんでしたが、今回はきちんと間に合うように日没よりもずっと早い時間にはきちんと宿について日没いつでもばちこーいな状態を作っておきます。

 宿には首尾良く16時過ぎには到着。いつも観光やらツーリングやらで宿に入る時間ギリギリどころか過ぎることも多い自分としてはこれは驚異的とも言える快挙です。国道から旅館までの坂道は急なオフ道なので足元明るければなお都合良くたまに早く宿に着けば良いこともあるモノだ、イヤむしろ良いコトだらけだとお宿のご主人・おかみさんの出迎えを受けながらこれも自分としては驚異的に殊勝な気持ちになったりならなかったり。

 お宿お風呂は雷電温泉からそのまま引いたご自慢のお湯で、更に露天風呂が駐車場からほぼ丸見え状態と凄まじく開放的なのが売りの環境で、ちょっと好みは分かれるかもしれませんが私は好きです。お風呂からも同様に岩内の海と夕陽とが一望できるロケーションにあるのですが、今回は宿のお外で日の沈むのを待つとします。何故かというと

 コイツらが来て早々お宿の外に時にウロウロ時にゴロゴロかまって下さいとばかりにたむろしていることに他ならないからです。ネコ好きとしてこれがかまわずに居られましょうや。

 着いて早々カメラを持って外に這い出てきた若造がとても珍しかったのか、お仕事に一段落入れたお宿のご主人とおかみさんもお付き合いでお外に出てきました。私としては少々きまりが悪いので一応「夕陽を撮る」と云うことにしておきましたが、そのカメラの矛先が景色三分の一残りネコという配分、すぐに私の意図は知れてしまったようです。

 お宿のネコは二匹。一匹は去年去り際背中を向けてお別れしたヤツです。そういえば前来た時、コイツはほとんど家ネコだったのに今回の訪問ではネコ、エサ食いにエサ皿のある玄関に時々近付いては来ますがそれより先の家中には全く近寄らず敷居を跨ぐ様子を見せません。このことについておかみさんがこの一年の内に起きたネコの大きな変化を詳細に教えてくれました。

 も一匹のネコが姿を見せ始めたのはちょうど一年ほど前のお話で、外に散歩に出かけた元からいるネコ・・・名前を「チョン」と云う*2・・・が連れてきたようで、どこかで捨てられていた模様。新しく着いて来た方はチョンと最初から大変気があったらしく瞬く間に仲良しに。一方でこの後から来た方、人には絶対になつかない。人とは常に一定の距離をとってその距離を絶対に縮めない。そのためこいつが現れるとチョンは構いに外に出る。その内両ネコ常にほぼくっついているようになるが後から来た方はやはり人には慣れないから家に絶対に上がってくることはない。その内とうとうチョンの方が外のコイツと一緒にいるため家を出て自ら家ネコをやめて外ネコになってしまったとのこと。

 それでも元家ネコの気安さと人なつこさからチョンが人を避けることはなく気が向けば率先して人に近付く様は変わらず。この状態で背中を触ると反射的に触った手を甘噛み甘引っ掻きで攻撃。繰り返しても繰り返すごとにやる。背中に触るのが木の枝とかカメラのストラップとかでもやる、その内タイミングを計って触った手をひょいと避けてもやる、イヤなのかイヤでないのかよくワカラナイけど、からかいともふもふの代償に噛み傷の一つくらいは覚悟してやりましょう。

 ちなみにチョンはオスで10歳くらい。後から来た方はメスで2歳くらい、その後お客さんから「ハナコ」と云う名前をもらったとのことでずが、もちろんこの「ハナコ」の名前に反応するわけでもなくタダひたすらマイペースに宿の回りをチョンについて回ってるだけとのこと。チョンがオスでハナコがメスなのでおかみさんはおふたネコを年の離れたつがいと取ってるよう。「チョンも家中より若い愛人がヨイのね」と。

 そして両ネコ、揃って車が好き。車のエンジンが好き。

 高じてとうとうマフラーが好き、バイクでもヨイ。

 こうして雷電の宿の日は暮れていくのです。

 お宿の夕食、近辺の山海の幸をふんだんに使った料理を泣きが入るほど大量に食べさせてくれて、夜海の向こうに漁火を見、朝やはり大量の食事、夜朝二回のお風呂も含めてごちそうさまです。

 そして朝も

 やはりネコ

 仲のおよろしいことです。

 ここでおかみさん、チョンの武勇伝を聞かせてくれました。チョンがここに来てほぼ10年、それまでは宿の中ネズミが多くて暴れ回ってて非常に難儀していたのがこのチョンが片っ端からとっつかまえてくれたおかげで今や全くネズミはいなくなったとのことでこれには宿として大変助かっているとのこと。ただしそのとっつかまえたネズミを愛情表現から見せに来るのは少々閉口。閉口と云えばチョンの武勇伝、ネズミだけでなくそこらで羽を休める鳥も片っ端から牙にかけ、更に一番驚いたのはどっから捕って来たのか口に白いテンをくわえて誇らしげにソファーに置かれた時には肝を潰して逃げ出してしまったとのこと。ご主人のこの対応は、誉めてもらえるとばかりに思っていたチョンを凄く傷つけてしまい今思えば悪いことをしたなと思ったけどその時はそれどころでなく、ご主人が帰ってくるまでそのテンの死体の上に新聞紙をかけてなるべくそっちを見ないようにと。チョンが一番楽しそうなのがヘビいじめで、ある時偶然巨大なヘビをいじめ倒してるのを見かけた風呂修理のおじさんが見かねてヘビを助けてあげたけど既に手遅れと、このチョンのハンターとしての腕と質は相当のモンらしい。その昔、チョンが来る前のんきなご主人が宿の回りにいるキツネにエサをあげた所その内キツネ一家総勢5匹が朝起きると宿の玄関前に並んで待っていたことがあったそうでおかみさんがさすがに箒で追い回したその名残でか、時々宿先にキツネが来るとその自分の2倍近い大きさのキツネさんをチョンさんは追い回して追い返すと。おかみさん曰く「実は番犬より役に立っている」

 一方でハナコはやはりなつかない。毛並みからどっか外国のネコの血が混じっているらしいし、チョンがうまそうに食べてたエサも最初は手を付けず腹が減ってどーにもならなくなって初めて手を付ける、血統のせいかよほど良い所で飼われていたのか、とにかくチョンと比べてどこかお高い雰囲気を漂わせているハナコ、そんなハナコにチョンは先にエサを譲る等猫可愛がりも良いとこでこれからもそんなこんなで外ネコとして、時に玄関先に寝転んだり時に闖入者を撃退したりと三浦屋旅館の番ネコとして生きていくのでしょう。お宿としてはもうこれ以上のネコを養う能力がないとのことでこれ以上ネコが増えることはない、けどやはりこのお宿の私的な売りはやはりネコなんだな。もうちょっと山上にある旅館が休館状態になるような暴風があったりご主人おかみさん共に段々お年を取って来たりとやはりお宿を続けるのに厳しくはなりつつあるようですがここのお宿、今回二回目でますます好きになったのでできるだけ続けて欲しい。元気そうで呑気そうに見えてチョン君も結構なおトシなのでまたこの次に行く時まで元気でいて欲しいな。また会えたらその時はほんの少し血が出るくらいなら噛んでもイイからさぁ。

 三浦屋旅館→http://www.iwanai-kanko.org/tomaru1.shtml(岩内町の観光・宿泊案内 一番下「雷電エリア」に住所・連絡先)