静かな印象見かけだけ・・・国道駅

 初めに言っときますね。「記事のマネして駅寝して遭難してもオレは知らん」「国道駅はあまり駅寝に向いてない」

 毎年のことなのですがこの時期、年に一度の内視鏡検査があり朝早くから食事も摂らずに一都一県越えて病院まで行くのかったるいので病院のある横浜近くにテキトーな宿を取って泊まることにしているのですが、初めは割合マトモな宿取りだったのが去年とうとうこちらのお宿を利用することになって*1遂に今年は駅寝と云う一線を越えてしまいました。何処ぞの誰かの適当な人生、この一年一度のイベントを定点観察することによって期待にそぐわず段々零落していく様が見て取れるようです。

 と云うワケで駅寝の場所に選んだのは鶴見線国道駅。縁もゆかりもないクセになんだかんだで一年一度は訪問しておりますが訪れる度に駅下の住居店舗その他今まで使用していたんだか無かったんだかの諸々が目に見えて「使ってません」「使えません」の看板を貼り付けていくが如く、扉窓戸悉くに安っぽいベニヤ板が張り付けられていく様は今後の国道駅の使い道について全く考えていない、寧ろいい加減叩き壊してもっと管理の楽そうな見るも無惨な建物にしたいけどコレだけ変に有名になってしまってヘタなことはできないな、と横浜市JR東日本の逡巡する様が見て取れるようです*2

 いちいち断ることはないのですがやはり駅寝の原則「終電後に寝る」を忠実に守るには終電に乗って目的地に到着するのが理想というワケで、その日の昼間阿佐ヶ谷で映画観て過ごした私は終映後の帳尻を?見線の終電に合わせるべく近くの銭湯でヒマをツブし、駅寝直前に風呂に入り綺麗さっぱり駅寝に入るというせめてもの贅沢を味わって予定通り?見線扇町行き最終列車に乗って国道駅を降りることが出来たのでした。

 国道駅で降りたのは私含めて10人ほど。見かけの妙とは裏腹に結構な市街地に位置する駅なのですから休日の最終とは云えこれくらいの人数降りて当然と云ったところ。その尽くは当然の如く地元民、当然の如く私を除いて。

 さて、国道駅で寝くさるに当たってまず心配したのは終電時に限り普段姿を見せない?見線営業所の職員なんかが現れて無意味にたむろする不良共を排除してはい今日の仕事はおしまい、という事態にならないかと云う都市部故の対応で、それを確かめるべく?見線を降りて「ホームと車両の間が空いている部分がある・・・」注意喚起アナウンスの入る国道駅ホームに降り立つとそのいかにも疲れたという風を装い少しベンチで休んでいくかの体を取り繕いその勢いでもって寝てしまった客の真似をしてしばらく様子をうかがう作戦に。ドア締めの車掌は特にとがめる様子なく、臨時の駅員のいる雰囲気もなく、ただ降車客の一人がさも酔って青い顔をして、友人に介抱されながら降りたすぐ目の前でゲロでも吐こうかという態度を見せた時は流石においおいと眉をひそめその成り行きに注視せざるを得ない。オレは今晩ココで寝るのにとんでもないコトしくさって、と。まあ当然ながら、皆が利用するホームに堂々とゲロを吐く行為もどうかと思うが皆が使うホームで堂々と泊まっていくこともどうかと思うので余り大きな態度は自粛せざるを得ない、コレも都市部故の特徴です。

 ホーム上には2台ほどカメラの備え付けが認められます。その一つは丁度横になっているベンチが丸写しになるような位置になりますが特に変わった反応は見られません。そのままリュックを枕に横になっています。30分ほど過ぎても終電後ホーム上の異物を排除するような動きは見られません。コレはこのまんまいけるんじゃなかろうか? この日貴重な梅雨の晴れ間、気温も外でそのまま寝るには気持ちよく寝袋ナシでそのままいけるかもしれない、いちいち寝袋取り出す億劫さをそんな手前勝手な理屈で誤魔化しながら段々と眠りが深くなり・・・「ガタンガタン!」突如列車の走行音に驚く。どんな列車を使おうが誤魔化しようのない異音は間違いなく?見線のモノ。おかしい、回送列車か? とっさに回避する手段も思い浮かばず「そのまま気付ん振りをして横になっている」と云う回避方法としては一番ダメな方法で様子をうかがっていると、その列車間違いなく?見線のしかも回送列車ではなく歴とて運行中営業中の列車。紛う方無き真の?見線の最終列車は上り?見方面でありました。当方致命的な手落ちです。カメラどこではなく職員の肉眼でこの姿を見られてしまう。

 最も対抗式ホーム反対側運行の列車なんて行き違い列車でもなければ手前と反対側のホームなど見ていようワケはなく、数人降りていった乗客も反対側に誰がいようが興味など無く特に咎められること声をかけられることなく反対側のホームで起きていることなど我関知せずの体のまま真の?見線最終列車は京浜国道を渡り?見駅の方へと消えていく。フライング気味のややルール違反となりましたがともあれ、時点からようやく駅寝がスタートする事となりました。

 改めて駅構内を見回して寝るに一番適した場所を探します。あらかじめ候補として?ホームのベンチ?階段?高架下ホーム館の渡り、以上を想定、この内?は見ての通り問題外として

 期待したのは?。

 奇妙な空間の多い国道駅内にあってこの場所、やはり奇妙の一端を担う構造物である事間違いないのですが場所柄外の空気場合によっては雨露しのげて実は最も適当なのではと密かに期待した場所なのですが

 先客の存在及びその先客のモノと思しきおびただしい白い落とし物の存在、ココで寝るのはトイレで寝るより危険だなと断念。真面目な話未知の病原菌を媒介する可能性のある鳥類は実は怖い、人類を滅ぼすの人類でなければきっと鳥類に違いない。

 いずれも国道ならではの寝場所である各場所あきらめて素直にオーソドックス(?)に元居た(??)ホームのベンチをヤサ(???)に定める事にしました。一応この時点で終電発車後30分の経過。別に見回りの職員は現れる様子なく、駅構内の電気の消える様子もない。両条件共に駅の防犯駅寝の敢行両方の意味で結構差し支えあると思うがどうか。いい加減眠たくなったので寝袋を出して中に入り込みます。

 さてここらで話の本質突きますが、国道駅ははっきり言って駅寝に向きません。まずすぐ下が日本有数の幹線道路の国道15号線、このど道路午前2時を過ぎた辺りからトラックの往来が激しくなる。更にその走行音が常にガード下駅入り口開きっぱなしの特殊な国道駅「高架下トンネル」内を乱反射後異様な音となってホームへ上がってくる。加えてそう遠くないところにあるコレも日本有数の鉄道幹線東海道本線、普段なら鉄道の走行音など寝る妨げになどならないのだが、流石に高架下トラックのコンボとなると話は違う。加えて断続的にそう遠くない場所から聞こえるおそらくはDQNの笑い声。遭遇したらめんどくせぇことこの上ないこの声はこれだけで良睡の妙を妨げるに十分過ぎ、この容赦ない三連コンボの効果はてきめんでこの寝者をして深い眠りに陥らす事を妨げる事この上なく、

 朝が来れば当然の如く始電が来る前に撤収。

 後は、まあ、せっかく国道駅に来ているコトですし周囲景色を楽しみましょう。

 かの有名な「国道駅機銃掃射跡」。上部の建物の廃墟化により窓ガラスなんか割れ放題のまま放置、まるで今さっき機銃掃射に晒されたような姿に。まるで荒涼たる焼け野原から始まりぐるっと変なとこを一周した挙げ句再び焦土に向かいつつある我が国の有様を嘲笑う前衛芸術と化しつつあります。

 このまま蔦に覆われていく姿を想像。その姿、謂わば国道駅第三形態。

 「国道駅に通う」と云う目的でちょっと就職したくなった

 初めて気付きました、国道駅裏(?)にお稲荷様。おいなりさまおきつねさまどうかどうか

 国道駅の価値がもっと広く認められますように。
 

*1:http://d.hatena.ne.jp/sans-tetes/20110620

*2:実はこちらの一部の建物は「昭和82年」までの使用許可となっているのでぶち壊されても文句は言えないのです。→http://f.hatena.ne.jp/sans-tetes/20110619201156国道駅下の昭和はこないだようやく終わったようです